「異常な新聞」木走まさみず

最後に朝日新聞の社説の結びを分析しましょう。

 負の歴史に由来する試練をどう乗り切り、未来志向の流れをつくりだすか。政治の力量が問われている。

 「政治の力量が問われている」と結ばれていますが、あれあれ主語がありません。(主語を消す、これはブンヤの意図的なテクニックです)

 この場合、結びの手前の文が鍵を握ってきます。

 日本政府は小泉純一郎政権のとき、元徴用工らに「耐え難い苦しみと悲しみを与えた」と認め、その後も引き継がれた。

 政府が協定をめぐる見解を維持するのは当然としても、多くの人々に暴力的な動員や過酷な労働を強いた史実を認めることに及び腰であってはならない。

 なんのことはない「日本政府」でした。

 朝日社説は結びで「日本政府」に「多くの人々に暴力的な動員や過酷な労働を強いた史実を認めることに及び腰であってはならない」と要求し、最後に「日本政府」の「力量が問われている」と、本件は日本政府側の問題であると暗示して結ばれているのです。

 ・・・

 今回は主要紙の社説をメディアリテラシー的にプチ分析してまいりました。

 ご参考になりましたでしょうか。

 社説のような小論では結語のインパクトは重要です。

 落語で言えば落ちのようなものであります。

 そこにはその新聞社が訴えたい主張がしばしば凝縮しているものです。

 日本の全国紙の中で唯一「韓国政府」ではなく「日本政府」の責任を追及して論を結んでいる朝日新聞社説なのでありました。

 この局面で韓国より日本への注文を出す、まさに異常な新聞と申せましょう。

 ふう。

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